空と君のあいだに

研究と教育と日々の,思考整理の場

シルクロード横断

以前に夏の旅行計画についてメモ書きを残したが,結局「グルジア→アルメニア(→ナゴルノカラバフ共和国)→イラン→トルクメニスタン→ウズベキスタン→カザフスタン→中国」というルートで,カスピ海南岸をまわりトルキスタンを経て西安を目指した.国境の抜け方…

夏の旅行の覚書

授業に追われる日々で1学期間全く更新できなかった.夏の旅行に向けた準備の覚書を.まず,8/1発-8/31着のグルジアはトビリシまでの往復旅券を購入しました.グルジアからアルメニアを抜け(途中,ナゴルノカラパフ共和国を覗きつつ),イラン,トルクメニス…

夏の旅行,計画編:その1

ここのところ旧ソ連圏を通ってシルクロードを横断することがライフワークの1つとなっている.2014年の夏にウズベキスタンを横断した*1のをきっかけに,2014年冬にはコーカサスを抜けてトルクメニスタンからウズベキスタンまで,2015年夏にはジョージアからア…

web空間は対話の場になりうるか

メーリングリストで嫌な議論?を目にしたので.「(外の世界の)対話こそ大事」という類の主張をする人間が,ときとして意見を異にする内の世界の人間に対して攻撃的な態度を取る現象にどんな名前をつければよいのだろうか.内輪のメーリングリストではなく,…

アルメニアにて

最近,アルメニアとアゼルバイジャンが,アゼルバイジャンの自治州>ないしアルメニアの傀儡国家>である「ナゴルノカラパフ共和国」を巡って衝突したというニュースを聞いた人も多いと思います.両国はそれぞれ昨夏と一昨冬に旅したのですが,まぁ両国にとっ…

小学校では地動説を教えない?!

最近,一部で話題になっているこの記事に関して思う所. togetter.com 最初に結論を述べると,まとめ主の言いたいことも分からなくはないが(部分的には肯定できる),焦点が絞れていないがためにコメント欄での議論が発散してしまっていると私は感じている…

狭間の人,コペルニクス

成績処理やら新年度のクラス分けも終わりあとは終業式(と成績不振者への対応)を残すのみとなった.今年度は副担任だったもので,ホームルームやら何やらにはそこまで主体的に関わることがなかったが,担当クラスも明日で解散することを考えると名残り惜し…

ケプラーは科学者か

毎週の授業準備やら試験の準備やらで更新が滞ってしまった.天文学史の講座には,いろいろな反省点こそあったもののなんとか全8回を無事に終えることができた.その後,チームティーチングでの講座は,勤務校では10年来の悲願?のものだったと知った.新人に…

Astro-H打ち上げ成功

毎週水曜日はエンドレスの職員会議だったのだが,今週は珍しく17時半ごろに会議を終え,教員室に戻って思い出したのがAstro-Hの打ち上げ.まさにH-IIAロケットに点火された打ち上げ数秒前からライブ配信をYouTubeで観賞した.rinsan.hatenadiary.com 以前に…

放射線教育

宇宙線の話を授業でした際に,放射線が体に当たるとどうなるのか生徒に聞かれたので,東海村の事故について動画で紹介した.1時間まるまるNHKのドキュメンタリ映像を見せるだけというラクな授業?をしてしまったが,アンケートの声を見ると生徒たちにはかなり…

普遍論争

天文学史の授業で,世界史教諭のアイディアから「普遍論争」を生徒に体験させる取り組みを行った.信仰は理性で説明できるか否か,ワークシート形式で議論・検討してもらった.詳しい内容は改めて記事にするつもりだが,古代・中世・近代と向かうにつれ次第…

イカ東

「いかにもな東大生」を略して「イカ東」と呼ぶらしい. イカ東(いかとう) - 日本語俗語辞書 この単語を知ったのは学部生から修士の院生だった頃だと思う.最近,オーケストラの活動を本格的に再開しつつあるのだが,これをきっかけにこの言葉を再び意識し…

自転速度と質量と

センター試験の過去問を眺めていて,木星型惑星は地球型惑星より自転が速いと知ってこれをどう説明するか悩んでる.大きい天体だとタイムスケールが大きくなるから自転が遅くなるかと思いきや逆センスだった.とはいえ,質量が大きい天体ほどり広い範囲でガ…

ハーフマラソン

先週の日曜日にハーフマラソンに出た.赤羽ハーフマラソン.5年ぶり3回目の参加.前日に雪の予報が出ていたため,中止もありうるなと思い(そして年始から風邪をひいており練習不足だったこともあり),いまいちモチベーションの上がらないままの参加だった…

プリンキピアの意義

しばらく天文関係の研究会から遠ざかっていたが,春に天文学史研究会で講演することにした(天文学ではなく天文学史だけど).一応,ジャンル的には史学系の研究会だけど,まさか史学方面で話することになるとは数年前は思わなかった.会場は国立天文台だし…

天文学史におけるイスラーム世界の役割

引き続き,天文学史の講義の概要.前回の内容はこちらにて. rinsan.hatenadiary.com前回までで,地中海世界で育まれた天動説理論の話はひと段落.今回は地動説への転換に向けてイスラーム世界に触れた.スケジュールを組む段階では,この回は全体の流れから…

天動説理論の精緻さ

授業の準備で一杯一杯になってブログを更新できなかった.毎週土曜に開講している天文学史の講座の概要を再び.前回書いた内容はこちらにて.今回はその続き. rinsan.hatenadiary.com 前回の講義ではプトレマイオスが,『アルマゲスト』にて天動説理論の根…

捏造疑惑

先週の土曜に行った天文学史の講座の概要.前回の内容はこちら*1でフォローしていただきたい.前回,社会科教諭からはギリシア哲学の導入を,僕からは「天球面上における角度スケールの体得」と「相対運動の観察において観察者と目標物の運動が縮退すること…

年越しヨーロッパ

年越しはドイツの友人宅で過ごした.なんでも花火は現地では法律で禁止されているが,年越し前後の数時間のみ許されているとか.そのおかげで,年越し瞬間は日本の花火大会顔負けの打ち上げ花火が,全て個人による市販品で上げられていた.通りは煙だらけだ…

渡欧

ドイツ在住の友人と新年を迎えるべくドイツに来ている.年末年始で安いチケットがなかなか見つからなかったため,マイレージプログラムの関係で,不本意ながら普段は乗らないJALを利用.B787だったのだけど,座席間隔が広くてエコノミーでも快適ですね.クリ…

『1984年』

昨日まで顧問を勤めるワンダーフォーゲル部の合宿引率だった.これまでの引率では生徒と同じテントに一緒させて貰ってたが,今回は新しい顧問用テントを手に入れたため2人用テントを1人で使えた.明け方寒い以外は快適で,QOLが著しく改善したためストレスな…

Program note

演奏会のプログラム・ノートを書くのが好きだった時期がある.以前,Jugend Philharmonikerというアマチュアオーケストラに深く関わっていたのだが,その頃に2-3回ぐらいプログラム・ノートを書かせて貰った. jugend-phil.comアマチュアオーケストラのプロ…

Astro-Hの打ち上げ決定

X線天文衛星 Astro-H の打ち上げ日時が決定したらしい.この話自体はもちろんとても喜ばしいのだが,個人的には複雑な感情が渦巻く. www.jaxa.jp大学院時代の私の専門はVLBIであった.一方で,院試の願書を提出する学部4年の夏,希望する指導教員を決めるに…

期末試験の反省(出題者編)

先日,試験についての私の考えを書いた.その関連で,今回は2学期の期末試験についての反省を書こうと思う*1. rinsan.hatenadiary.com私が担当する高校地学基礎の,今回の試験範囲は天文分野だった.中間試験以降の2学期後半は授業回数が少なかったため,銀…

メイドと執事

人に薦められて『Under the rose』という漫画を読んでみた.昼ドラ的と言われていたのだが,その通りだった.慣れないストーリー展開のせいか,コマの進みについていけない.しかし,物語の意外な展開には驚いた.面白い.www.amazon.co.jpさて,私はこうい…

要素還元主義

一人暮らしを始めてから自炊にこだわっている.料理本を見ながらというほどではないのだが,時間のない朝食と,近所の馴染みのバーに気まぐれで飲みに行く以外,特に用がなければ料理するようにしている*1.料理するようになると興味関心が広がる.まず第一…

Uncertainty principle

本校では今日から期末試験が始まった.いまこの瞬間,担当分の試験問題をすべて作り終えて安心したところで,試験問題に対する僕のスタンスを簡単に述べたい.試験をいかに行うかは教育学的に1つの分野を形成するのだろうが,生憎そちらへの見識は皆無のため…

世界史と物理学と天文学の境界

天文学史の選択授業準備のために,世界史担当の教諭と打ち合わせしていて思い出したこと.今回の選択授業では古代ギリシアからルネサンスにかけて,天動説から地動説へ価値観が転換していく過程を追うつもりである.その中ではプトレマイオスやガリレオなど…

ビルドアップ走

趣味の一つにランニングがある.職場の何人かで出たハーフマラソンを90分ちょっとで走れているので,それなりに速い方ではある.もちろん,それなりのトレーニングも積んでいる.月間100km届かないぐらいだけど.ところで「人生はマラソン」とはよく言ったも…

情報戦

そういえば,先日,授業中に生徒から女性の胸と尻のどちらが好きか聞かれた.相変わらずの男子校テンションである.聞くところによると同僚教員はそれに回答したとか.だから,私にも答えよと迫ってくる.そのうち,どういうわけか「だから,先生は独身なん…