空と君のあいだに

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年越しヨーロッパ

年越しはドイツの友人宅で過ごした.なんでも花火は現地では法律で禁止されているが,年越し前後の数時間のみ許されているとか.そのおかげで,年越し瞬間は日本の花火大会顔負けの打ち上げ花火が,全て個人による市販品で上げられていた.通りは煙だらけだし,翌朝の通りはゴミだらけだしで,静かな大学都市らしからぬ情景だった.巷では同じくドイツにおけるケルンでの婦女暴行事件が賑わっているが,普段落ち着いている小都市でも大賑わいだったのだから中心都市ではこういうことも起こりかねないのを実感したものだ.
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さて,旅行ではヨーロッパにフランクフルトから入り,パリで出る行程をとった.フランクフルトに2泊,ハイデルベルクに3泊,ナンシーに2泊,ランスに2泊の9泊11日.いわゆる社会人の身としてはずいぶん余裕のある旅であった.もちろん,その分実りも多かった.

フランクフルトの中日では日帰りでケルンを訪れたのだが,正直,フランクフルトとともにいまいちな場所だという印象を抱いた.春にミュンヘンで乗り継ぎがあったときに5時間ほど待ち時間があったので2時間だけ市内に滞在したのだが,ミュンヘン第2次世界大戦で廃墟となったので,現在の街並みはその後再建されたものである.ケルンも同様に大聖堂以外は再建されたものに過ぎず,観光客の多さと相まってどうしてもテーマパークのような印象を拭えなかった.フランクフルトから日帰りで約50ユーロかけたのだが,もう一度同じ費用で同じ場所に行きたいかと問われるとNOと答えるだろう.フランクフルトもミュンヘンもまたしかりであるが,両都市は乗り継ぎの時間つぶしに市内に出かける分には手頃で良いとは思う.

一方で,ハイデルベルクと,そこから日帰りで訪れたネッカシュタイナッハ,ネルトリンゲンは良かった.観光客が少なく,観光地として手垢がついていない,先の表現を借りて言えばテーマパーク化していない土地である.そのような場所では地元の人もその地本来の生活をしているようで,こういう場所こそはるばる訪れる意義があると実感した.あるいは,ドイツの場合,例えばフランスのように経済が一都市に一極集中しておらず分散しているので,有名な観光地でも経済の中枢となりうるのでどうしても味気なくなってしまうのだろう.

さて,フランスのナンシーとランスだが,こちらはどちらも素晴らしかった.前者は,アールヌーボとロココ建築が小さな範囲に凝縮されており,たとえ観光客が多かろうと美術史を抑えながら街を歩くことでその良さを痛感できた.後者は何よりシャンパーニュ地方の中心,そうシャンパンの産地であり,美酒好きにはシャンパン・カーブ巡りだけで2泊3日の価値が見出せるだろう.ナンシーは今回の旅行でベストな土地だった.

次の春は研究の都合でハワイ,おそらく学校の旅行引率で韓国となるため,プライベートの観光旅行は次の夏になりそうだ.去年の夏はオーケストラの演奏会に載ることにしたので長い旅行へは赴けなかったが*1,そこでは少し長い旅行を考えている.具体的には,飛行機でアンカラに入ってナヒチェバン共和国(アゼルバイジャンの飛び地)を通ってイランに入る.そして,イランをぶらぶらしてからトルクメニスタンを通ってウズベキスタンに入ることを画策中だ.トルクメニスタンのビザが取れるか否かが肝である.

イランとウズベキスタンのビザが取れればトルクメニスタンのトランジット・ビザが理論上は取れるのだが,日本のトルクメニスタン領事館が受け付けてくれるか要確認なのだ.さすがに発給が確認できてる海外大使館で数日待つほどの余裕はないため.駄目なら現地旅行会社のツアーを頼むことになりそうだ.今のところ,イランのマシュハドからトルクメニスタンに入ってウズベキスタンのブハラに抜けたいのだが,こんなニッチな要望に旅行会社がつきあってくれるかというのと,バックパッカーしか通らないだろうこのルートで旅行会社を使うのは負けた気になるのが問題.トルクメニスタンは既に去年の冬に訪れているので飛行機でイランのテヘランからウズベキスタンタシュケントにスキップしてしまうのも手ではあるが…シルクロード複数回に分けてでも陸路で通る野望を叶えたいのでネガティブである.はてさて,野望は膨らむばかりで予習が楽しいこの頃である.

*1:1週間でアルメニア