空と君のあいだに

研究と教育と日々の,思考整理の場

普遍論争

天文学史の授業で,世界史教諭のアイディアから「普遍論争」を生徒に体験させる取り組みを行った.信仰は理性で説明できるか否か,ワークシート形式で議論・検討してもらった.詳しい内容は改めて記事にするつもりだが,古代・中世・近代と向かうにつれ次第に両者が分離して科学が今ある点が明らかになり授業する側としても面白かった.しかし一方で,現代の科学ではそれが逆行している部分もあるのではないかと感じた.

具体的には以下の記事を眺めて考えたい.
4knn.tv
STAP細胞に関する研究は,科学の方法論にはそぐわないことで不正と認定されるに至った.そんな中で,いまだに上記の記事に示したような支持者が残るわけだが,そこにあるのはある種の信仰心ではなかろうか.科学の方法論を理性と捉えられるのに対し,STAP事件の渦中の小保方氏への応援は信仰に近い.もともとは予算獲得のために彼女のパーソナリティを前面に出したところがその起源だと言えるだろう.存命中の科学者にスター性を求める現代の科学(理性)のあり方が信仰を生んだことは科学史的な観点で興味深い.